
今回の講師はノーマルなランナーですがトレイルも走る八塚氏です。トレイルランナーには一晩中走っちゃう、または50km以上の距離を走る「変態」と敬意を込めて呼ばれる種族もいますが八塚氏はあくまでもノーマルランナーです。そこのところ勘違いしないようお願いします。
体育館のラウンジを利用しての座学で走り方、シューズ・ザックの使用方法など基本的な技術のレクチャーがありました。また挨拶、声掛けなどのマナーの大切さも学びました。山を走るだけでなく自然保護、そして登山者、ハイカーとの共存が求められる時代なのですね。
準備体操を終えて鎌北湖に向けて出発です。受講生は「日本山岳耐久レースの常連」や「元箱根駅伝ランナー」「夜の高尾山晩飯後の帝王」などの猛者からトレラン初体験の初心者まで11名。山西師、八塚氏を加えて13名のグループです。まず沢沿いの緩い上りコースです。約2km、ウォーミングアップを兼ねてゆっくりペースで走っていきました。11月とは思えない気温18℃、晴天の快適なコンディション。鎌北湖は釣り人やハイカー、紅葉見物の観光客でにぎわっています。ここから自然歩道のトレイルランに入ります。
講師からの指示でグループをベテランと初心者の2人1組のペアに分けました。登山道を走るためのバディシステムできめ細かい指示と安全確保が目的です。基本的に急な上りは歩き、その他のフラット、下りはリラックスしての走りでコースをたどります。森の木々の中で土の香りを感じながら走る爽快感は都会では味わえないものですが、整備されているとはいえ木の根、石などが隠れていて転倒のリスクもあり油断は禁物です。30分ほどで宿谷の滝に到着。落差13mの小さな滝です。豪快さはありませんが趣のある瀑布です。

ここからコースは沢筋から尾根に向かいます。徐々に高度を上げていき尾根にとりつくと急峻な上りになります。部分的に花崗岩から木々が生えて崩れそうな場所もあります。谷側は宿谷の滝につながる沢の流れが見えます。初心者達は高度感、恐怖にビビリまくりです。慎重に足場を探し所によっては木の根を掴みながらの上りが続きます。今回のコースで最も「登山」らしい箇所でした。

登りきるとコースは穏やかな表情に変わりやがて物見山山頂です。物見山は毛呂山町と日高市の境界にあり標高は375m。パンフレットによると眼下の日高市街地、遠く東京の高層ビルも見ることができるそうです。東京のビル街、今回は見えませんでした。うーん、下見で何度か登りましたが見えたことはありませんねえ。それでも多くの人が休憩しています。
物見山から北向地蔵までは緩やかな上り下りになります。柔らかい土の道をリラックスして走り歩きすることができました。一部紅葉した秋の山を満喫です。バディも好調に機能して大幅に遅れるメンバーもなくなりました。

北向地蔵はトレイルコースと舗装された林道の接点になっています。12:40到着。ここで車両サポートの池田氏と合流です。細い林道を高級ステーションワゴンで荷揚げしていただきエイドを設けていただきました。台風の影響で道が崩れている場所もあり密かに「車体をこすっちゃえ!」と念じていましたが、お地蔵さんに守られたようです。次回はもっと危険な香りのする泥沼のような場所、もしくは崩壊して谷底に転落する場所に誘導して高級車の真骨頂を見せつけていただこうと思います。それでも2時間近く「ボーと生きて」待機していただいた池田氏には感謝です。エイドではパン、バナナ、チョコレート、パイナップル、ジェルなどが豪華に並べられメンバーは十分すぎるエネルギーを補給することができました。

13:00、再スタート。エイドを後にして舗装された林道を上っていきます。登山道ではトレランシューズのグリップ力、衝撃吸収力を実感しますが、舗装道ではランニングシューズの軽量反発力が機能します。
500mのアップダウンでスカリ山への分岐に到着しました。再び登山道です。急峻な道を歩くことにも少しずつ慣れてきました。山頂からの眺望を楽しみエビガ坂への分岐を右折、鎌北湖へ向かって下っていきます。あわよくばと思っていた一本杉峠は次回の楽しみです。
鎌北湖に近づくにつれて農家が点在してきます。鮮やかな黄色が映える秋景色を演出するのは「柚子」です。毛呂山町は柚子の里といわれるほどの産地なのです。

鎌北湖を経由して舗装道を走り総合公園帰着は14:20。ほぼ予定通りでした。お疲れ様でした。
受講生は距離を重ねるにつれてトレイルコースに慣れてきて技術も身についてきました。バディの効果もあったと思います。また、他の登山者やハイカーへもフランクに声掛けしている姿を見ると「さすがに大人の集団だ」と感心しました。この講座を機会にトレイルランを楽しむメンバーがいるかもしれません。自然の前では謙虚に己の力を過信せず事故、怪我などないように楽しんでいただきたいと思います。トレーニングに取り組み基礎体力、走力の強化も不可欠です。
今回の場所の選定にあたり「丹沢」「奥多摩」「高尾・陣馬」「赤城山」なども検討しました。ランニング大学受講生は神奈川、東京、群馬に多く居住しておりアクセスを考えて毛呂山町を選びました。奥武蔵グリーンラインは舗装された林道でランニングのトレーニングでの峠走で利用しています。林道はつづら折りを繰り返しながらのアップダウンが続きます。比較すると峠走のほうが圧倒的に負荷は大きなものになります。長距離走トレーニングの目的では峠走の方が効果的かもしれません。
実技中心の講座は今回が初めてでした。安全確保のため最後尾を務めていただいた北島氏、エイドサポートの池田氏、快く車両送迎にご協力いただいた皆様にお礼申し上げます。また、山西哲郎師のランニングへの豊富な引き出しを実感いたしました。きめ細かくご指導いただきありがとうございました。
基本コースタイム
毛呂駅〜(2K)車両送迎
毛呂山総合公園 10:30スタート
鎌北湖 10:50〜11:00
宿谷の滝 11:30〜11:35
物見山 12:10〜12:20
北向地蔵 12:40〜13:00
スカリ山 鎌北湖経由
毛呂山総合公園 14:20 到着
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(レポート:Y 写真:K)





